光城精工 KOJOTECHNOLOGY

電源環境の悪化と汚染とは

ではいったい、電源環境の悪化や汚染とはどんなものなのでしょうか。 おおかたの人は、壁にAC100V(あるいはAC200V)がきているのだから、コンセントに差込さえすれば機材は動作してくれる、といった認識ではないでしょうか。実際、特別な問題がない限り機材は動作しますし、何の疑問も抱くこともなく使用されているのが実状かと思います。(交流波形を一々見ている方はいないですよね) 一般的にビルや工場、家屋といった建物に供給される電源(交流)は、正弦波(サイン波)と呼ばれ、歪みがなく非常にきれいな波形と思われ?がちです。しかし、実際には以下に解説するような電圧変動やノイズ発生、瞬時停電など様々な現象が起こっております。(電力会社から建物等に供給される電源は高品質なもので、以下に解説する現象は建物内部に入ってから起こっていることが殆どです) 実際の波形を参考にし、それぞれの現象がもたらす影響などを解説いたします。

DC成分

図1は交流電源にDC(直流)成分が含まれた時の波形です。正弦波?状に見える波形が電圧(黄色の線)、正弦波のピーク付近で盛り上がっている波形が電流(青色の線)です。 DC成分(図の場合、正の方向にズレ)が含まれることで、電圧波形のゼロボルト付近に通常は流れないはずの電流を確認できます。 アンプやパワードSPなどに内蔵されているトランスを唸らせる原因となります。 酷い場合、トランスが発熱したりします。

サージ・インパルス

図2はサージ電圧(赤囲み部分)と言い、使用機材の定格を大きく超えたパルス波形で、雷が発生した際などに見られる現象です。 大切な使用機材の破損や誤動作などをもたらします。

サグ

図3はサグと言い、公称電圧と呼ばれる電圧値(国内の場合、AC100VやAC200Vが相当します)に対し、比較的短いスパンでの電圧低下を指します。 次に述べる<スウェル>とともに、国内の電圧はAC96~AC106V程度の範囲で安定しているようですが、一旦建物何に入ると、それは保証されず、経験ではありますが、酷い場合はAC90Vを割り込んだりする電源環境も目にしたことがあります。 電源供給もとの不安定さなどが原因で、使用機材を動作不安定にしたり、誤動作などをもたらします。

スウェル

図4はスウェルと言い、公称電圧と呼ばれる電圧値に対し、比較的短いスパンでの電圧上昇を指します。丁度、サグと反対の動作となり、サグ同様 電源供給もとの不安定さなどが原因で、使用機材を動作不安定にしたり、誤動作などをもたらします。 現象的には、サグが発生するような場所にスウェルも発生しています。

高調波・ノッチ

図5は高調波成分を多く含んだ波形で、発電機などの電圧波形に確認されます。正弦波を大きくかけ離れ、三角波状にも見えます。また、50Hzという大きなサイクルの中で、小さく波打っている様子も見て取れます。 その他、ゼロボルト付近にノッチと言われる局部的電圧低下も確認できています。 高調波成分の増加は使用機器の効率を下げ、発熱や異音といった現象をもたらし、場合によっては高価な機材を破損させる場合もあります。

瞬時電圧低下

図6は電圧が急激に低下したときの波形で、大電力を必要とする機材が起動する時などに発生する現象です。感覚的には、部屋の照明が一瞬暗くなったりするなどの現象が確認された時、このような瞬時電圧低下が発生したりしています。 使用機材の誤動作などをもたらします。

このように、世界一の電源事情を誇る日本にあっても、実際の建物内の電源環境はかなり汚染されていて、理想的なものからかなりかけ離れたものになっています。人体に対する直接的影響はないまでも、自分が電気を供給される機材だと考えると、体調が悪くなりそうな気がしますね。どうやら水と同じように電気も浄化(浄電?)してあげる必要がありそうです。